ぼんごさんと高校:ぼんごさんと友達③(女の子たち)

パニック障害

パニック障害を発症しているということを全く知らずに高校生活を謎の体調不良とともに過ごすぼんごさん。

体調不良のために友達の誘いに付き合えないとか、授業を受け続けられないとか、学校に行けないとか、そういった悔しい日々が日常と化していた。

心配

「来れるなら学校に来なよ」

と、心配する口調でA子から言われた。

調子が悪いので元気もりもりには学校には来られないのだ、とぼんごは答える。

A子は優等生。学校を休みがちなぼんごを気にしてよく話をしてくれたようだ。

ぼんごは不調の原因が思い当たらないから曖昧なことをしか言えないし、A子も心配する以外にできることもなくて、お互いに、「来れるなら来なよ」「行けたら行くよ」みたいな、結論を先送りにするようなやりとりが、よくあったらしい。

そんな感じでぼんごの不調は、伝えてはいるが理解してもらえない状態であった。

といった事情を全く汲んでくれることもなく、パニック発作は毎日のようにぼんごを襲ってきていて、電車の中で脂汗を垂らして青ざめて震える日々が、ぼんごにとっての日常となっていた。

A子とつるんでいる子にB子がいて、そのB子とはぼんごも友達であった。

で、あるときぼんごはB子に手紙をもらったらしい。

「A子がとても心配しているよ」
「ぼんごが学校に来ないから、留年しちゃうかもって心配しているよ」
「A子が心配しているのは知ってるでしょ」
「A子があんなに気にかけているのに学校に来ないって、A子に対してひどくない?」
「それでも友達って言えるのかな・・・?」

みたいな、主語おおきめのお気持ちたっぷりの毒まんじゅうを、ぼんごは喰らった。

私が悪いのか

ぼんごはショックを受ける。

友達の気持ちを考える余裕などなかった。どうすれば発作が起こらずまともに学校に来られるのか私にもわからないのだ。

毎日、発作に耐えてどうにかならずに一日を終えるだけでいっぱいいっぱいだ。この謎の体調不良をどうすればいいのかわからない。自分の身体がどうすれば満足するのかわからない。逃げるところがない。不調を伝えても理解してもらえない。こんな気持ちを受けて止めてもらえる居場所もない。病院に行っても不調の原因もわからない。親にも言えない。先生は怒る、友達はひそひそ私を噂している。頭がどうにかなりそうな毎日を過ごしていることが、ほぼ伝わっていないことをぼんごは知った。私はただ怠けていると思われているのか。

A子も、心配してくれる言葉を自分には投げかけてくれてはいたが、B子には「友達である私の言うことをぼんごは聞かない」的な不満をこぼしていたわけで、私の内実に寄り添う行動はしてくれはしなかった。それどころか結局のところB子に対して私の良くない像を仕立て上げて勝手に溜飲を下げていたわけだ。

自分自身は自分自身の不調と向き合っているだけだったのに、いつの間にか悪者にされていたようだ。

A子が心配してかけてくれる言葉は実際、ありがたかったのだ。そんな感謝の気持ちを伝える余裕もないまま毎日を過ごすのが精いっぱいで言えなかったが。

ぼんごは自分のことでA子にもB子にも迷惑をかけたくなかったし、そう行動したつもりもなかった。自分の体調不良のことは言っているつもりだったから。

だが伝わっていない。

私が汗をかいて震えているときは、遠慮なく私を置いて行ってくれていい。私は本当に体調が悪いんだ、どうしても身体が動かない時があるのだ。私は私のペースで生きたい。私が元気もりもりなあなたたちのお気持ちに配慮しなかったからと言って、悲しいが、あなたたちの人生にとくに大きな影響はないはずだ。

ちょっとでも自分たちと違う考えを持つとそれを「ひどい」等と言って排他的になる人たちは最初から友達じゃなかったとぶち切れて、ぼんごは例によって手紙をくしゃくしゃに丸めてその辺にポイした。

見かけだけの優しさで救われるほど自分の体調不良は甘くない。
せめてそのことだけでもわかってほしい。
そして、私を悪者にしないでほしい。

自分なりに頑張って生きているといつの間にか悪者になっている状況、はぼんごの高校生活で最もつらい出来事のひとつだったようだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました