ぼんごさんと友達①

ぼんごさんと中学校

あるとき、クラスに仲良し組があった。
ぼんごもそこに属していた。ぼんごにしては珍しく、帰属する意識が芽生えた組織だった。

中学校に入っても自分のレールと普通のレールが違うらしいということを感じてはいたものの、友達付き合いを意図的に避けて暮らしたいわけではなく、むしろ仲のいいお友達は自分を認めてくれる大切な存在だったから、自分が安心していられる気の置けない友達ができて、ぼんごは嬉しかった。

クラス替え

学校ではいつも一緒にお弁当食べたり、休み時間を一緒に過ごしたり、休日にはお出かけしたり、たくさんの時間を一緒に仲良く過ごした。

楽しい時間のさなか、誰かが「友情は永遠に不滅だね」って言ったりして、ぼんごもそのように感じる瞬間を何度も過ごした。

時間は一瞬で過ぎてみんな学年が上がった。
仲良し組はクラス分けで離ればなれになってしまった。

学年が上がってからも、ぼんごは仲良し組のうちのひとりに会いに、よく別のクラスに尋ねて行っては安心できる時間を過ごした。他愛もない話を五分ばかりしたりして、またすぐ自分の教室に戻るような感じで。

また時間が経って、新たなクラスにもみんな慣れ始めてきたころ。
ぼんごは会いに行っていた友達に手紙をもらった。そこには、簡単に言えば次のようなことが書いてあった。
「よく会いに来られるのはうざい。やめてくれ。」

え・・・。
ぼんごの頭にでかいクエスチョンマークがいくつも現れる。
「去年仲が良かったあの雰囲気はなんだったの・・・?」
「私の人付き合いの距離感はおかしいのか・・・?」
「友情は幻想なのか・・・?」

The world has turned and left me here

友達の態度の急変に驚いて、悲しみや怒りのような重苦しい感情が心の中で鳴り始める。
大きな感情の揺れ動きに流されて自分を見失いそうになるところ、ぼんごは壁に身を隠した。

自分は腎臓のことで小さなころからスポーツとか課外活動とかでコミュニケーションをとれてこなかったからそういうものの機微がわからず、友情を長続きさせる努力が足りなかったんだ。
仕方がない、普通はどうかわからないが、自分にとって友情は滅するものなんだ。

ある日あるときたまたまそこにいて同じ時間を過ごせたからと言って、永遠とか言ってはいけない。そんなものはない。信用できない。人間は結局ひとりぼっちなんだ。

たぶん私の時間は長くない。
軽々しく友情とか永遠とか不滅とか、安物のアクセサリーみたいな言葉を信用してはいけない。
それよりももっと自分にとって大切なものを守るように生きたい。

急に何かがふっきれて、思い出すとなんか頭に来ている自分がいた。
てのひらにあった手紙をくしゃっと丸めて、近所の川にぶん投げた。

たぶんぼんごの心の中に鳴っていた音はこういう音なんじゃないかと僕は想像した。

コメント

タイトルとURLをコピーしました