謎の体調不良を明確に認識していた高校生のぼんご。
学校へ行く代わりに、何度も病院に行った。
Sabotage
朝、制服に着替えてから、すこし遅れて登校すると親に伝えたあと、両親が仕事に出払うのを確認してから保険証をこっそり持ち出して、制服のまま病院へ向かう。学校には何も伝えなかった。
自分の身体に何が起こっているのかを突き止めようと考えてのことだった。
体調不良や病院通いを親に知られるとひどく心配されて怒られる予測をしていたので、親には内緒で病院に行った。このころはもうほぼ通わなくなっていた腎内科のある総合病院の内科に行って、高校生のぼんごはひとり診察を受けた。
よく出る症状は胃の気持ち悪さだったので、内科に並んだ。
気持ち悪くなる、吐き気がすることがある、たびたびある、といった発作の状況を伝えてみて、血液検査をしたり、バリウムを飲んでみたり、胃カメラを飲んでみたりといった診察が行われたらしい。
症状の原因は不明でこれといって異変も見つからない。胃薬を処方されて何度か飲んだが、発作が収まることは無かった。
また、ぼんごはひとり、別の病院の精神科にも行った。
今のようにメンタルの悩み事が広く理解されていなかった時代のこと、ぼんごはひとり、精神科という名前に得体のしれない怖さを感じた。が、自分の身体の不調を突き止めるためだと、激しめのメタルで耳からパワーを注入して、速弾きの勢いとともに、扉をあけた。
(ぼんご注:実際の精神科は怖いものではありませんが、当時の私の認識のなさが恐怖を生み出していました。誤解があるような書き方ですが嘘は言いたくないのでこのような表現になっております。)
日常生活に不安感がある、発作が起こるのではないかと焦りを抱えて生活を送っている、といったことを相談したところ、何か好きなもののことを考えるといいとアドバイスをうけて、本が好きだと答えたら、何の本が好きだと聞かれたので、遠藤周作が好きだと答えたら、じゃあ発作が来たら遠藤周作の本のことを考えたらいいよ、ということを勧められた。
んーむ。
そんなんで改善するのかよと、壁の中のぼんごは顔をしかめたらしい。
発作が来たときに急にそんな風に思考を切り替えられない。
見えない敵
結局、このころは不調の原因は何もわからなかった。
どこの科に行っても腑に落ちる診断はなく、効果を実感できた治療もなく、病気かどうかということもわからず、日常生活で気を付けるポイントも絞れず、何も、わからなかった。
不調を遠ざける明確な対策がわからない。
改善すべき具体的な目標がない。
原因を認識できない。理解の着地点がない。
そしてこの、不調をふくめたいまの状況は、絶対に自分に悪影響を及ぼしている。
ぼんごは、自分なりに上記のように、わからないならわからないなりに自分を見つめた。
結果、目には見えない得体のしれない敵が近くにいて、自分を苦しめているようなものだと、抽象的ながらも自分の状況を理解するようになった。
しかし、改善の方法は何ひとつなかったから、どう生きたらいいのか全くよくわからない。
何をしてもこの不調のせいで楽しくないし、自分がどうしたら満足するのかわからない。
こんな状態で普通の学校生活をみんなと同じく過ごすなんで、到底無理なことのように思えた。
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