腎炎

腎炎

アレルギー性紫斑病の患者の多くは子供で、紫斑病と同時に腎炎をわずらうことが多いらしい。
ぼんごさんも3歳の終わりくらいからアレルギー性紫斑病に加えて腎炎を併発した。

腎炎とは腎臓の細胞が炎症を起こして腎機能が低下する病気だ。アレルギー性紫斑病から引き起こされる腎炎は紫斑病性腎炎といって、難病指定の病気だ。

紫斑病性腎炎は、免疫機能が正常でないことがきっかけで血中の老廃物が排出されにくくなる病気で、かなりわかりづらい。外見上の変化もとくにない。この病気を知らない人にこれを理解してもらうのはけっこう骨だ。症状についてもどうしても主観的な表現になってしまい、共感されづらい。ぼんごさんが他人に病気のことを説明したくなくなるのもわかる。しかも根本的な原因が突き止められておらず、根治治療法は現在でも確立されていないらしい。

この紫斑病性腎炎を、僕は次のようにとらえている。
普通の状態から段階的に整理してゆく。

腎臓のはたらき

腎臓は、日常生活でたまってゆく体内の老廃物を血液の中から漉しとって体外へ排出している。

腎臓のはたらき1:老廃物がたまる

普通に生活しているだけで体内には老廃物がたまる。老廃物は身体にとっては有害なものだ。

腎臓のはたらき2:老廃物は腎臓から排出

体内の老廃物のうち血中にたまるものは、腎臓で漉しとられて、おしっことして体外へ排出される。
この腎臓の働きによって有害な老廃物は身体からでてゆくのだ。

普通の免疫反応

普通の免疫反応というのは、免疫系と腎機能が正常に働いている状態のことだ。健康な人はこれだ。

普通の免疫反応1:抗原が体内にやってくる

抗原というのは、身体に害を及ぼす存在と思えばいい。病原性のウィルスや細菌、花粉、小麦などの食物の場合もある。

普通の免疫反応2:免疫応答が起こる

免疫応答というのは、体内に入ってきた抗原を体外に排出するために人間が抗体を作ってやっつけることだ。抗原と抗体がくっついて、免疫複合体となって無害化するのだ。

普通の免疫反応3:老廃物として免疫複合体を排出

免疫複合体は、血中を流れて腎臓で老廃物として漉され、おしっこの中に混じって体外へ排出される。

アレルギー性紫斑病

アレルギー性紫斑病は、免疫応答が異常な状態だ。なぞの免疫複合体が大量に現れて血管に炎症を起こす。血中の多量の免疫複合体は腎臓に悪影響をおよぼす。

アレルギー性紫斑病1:抗原が体内にやってくる

抗原というのは、身体に害を及ぼす存在と思えばいい。病原性のウィルスや細菌、花粉、小麦などの食物の場合もある。

アレルギー性紫斑病2:免疫応答が起こる

免疫応答というのは、体内に入ってきた抗原を体外に排出するために人間が抗体を作ってやっつけることだ。抗原と抗体がくっついて、免疫複合体となって無害化するのだ。
このへんまでは普通だ。

アレルギー性紫斑病3:なぞの免疫複合体が大量発生

アレルギー性紫斑病の人の身体の中では、IgAという抗体を含む免疫複合体が大量発生。
これが血管に炎症を起こす。発生の原因などはわかっていない。

アレルギー性紫斑病4:老廃物として免疫複合体を排出

ふつう免疫複合体は、血中を流れて腎臓で老廃物として漉され、おしっこの中に混じって体外へ排出されるのだが、なぞの免疫複合体は腎臓に沈着してしまうらしい。

なぞの免疫複合体が大量発生するアレルギー性紫斑病のとき、血管が炎症を起こして「ぽつぽつ」が出る。アレルギー性紫斑病は腎臓に影響するものの、腎機能が悪化するところまではいかないこともある。

紫斑病性腎炎

紫斑病性腎炎は、免疫複合体が腎臓にくっついてしまっているような状態だ。腎臓の糸球体という組織が炎症を起こし、免疫複合体だけでなく、通常の生活で普通に発生する老廃物であっても腎臓が漉すことができなくなってしまい、漉されなかった老廃物がまた血中を巡ってしまうのだ。ぼんごさんはこれだ。

紫斑病性腎炎1:なぞの免疫複合体が大量発生

アレルギー性紫斑病の人の身体の中では、IgAという抗体を含む免疫複合体が大量発生。
これが血管に炎症を起こす。発生の原因などはわかっていない。

紫斑病性腎炎2:老廃物として免疫複合体を排出

ふつう免疫複合体は、血中を流れて腎臓で老廃物として漉され、おしっこの中に混じって体外へ排出されるのだが、なぞの免疫複合体は腎臓に沈着してしまうらしい。

紫斑病性腎炎3:腎炎が起こる

なぞの免疫複合体が腎臓に沈着すると、腎臓の老廃物を漉す部分が炎症を起こし、老廃物を十分に漉せなくなってしまう。

紫斑病性腎炎4:老廃物が漉されずに血中をさまよう

免疫反応での老廃物だけでなく、普段の生活で血中にたまる老廃物たちも排出されにくくなり、体内に残る。腎臓の網が広がったような状態と例えられたりする。

ぼんごさんの腎臓は4歳の終わりのころには機能が低下し始め、そこからはアレルギー性紫斑病を何度も発症しながら紫斑病性腎炎が進行していってしまう。

腎臓は回復することがない臓器だ。悪くなったら元に戻ることはない。またこの紫斑病性腎炎は根治治療が確立されていない。

腎炎が進んでしまったぼんごさんは、このころから腎臓に負担をかけない生活を送ることを余儀なくされる。

そして腎臓に負担をかけない生活は、病院と家との往復の中で成り立っていて、その頃の出来事はぼんごさんの人間性に大きく影響することになったようだ。

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