ぼんごさんと小学校:勉強

腎炎

小学校のあいだは1年に数か月は入院していたぼんごさん。
学校の授業はフルタイムで受けられなかった。でも、病院や家でもできる類の勉強はできていたから、成績は割とよかった。

病院での勉強

体調を崩して入院すると、はじめのうちは何もできず寝て過ごした。
ある程度体調が落ち着いてくると、よく本を読んだ。だから読解力や想像力は鋭かった。

やることがなかったので、学校の教科書を読むこともあった。国語の教科書は読み物と変わりなく、いつも最後のページまで読んでしまった。国語以外の教科もぱらぱらと雑誌をめくるように読んだりしたみたい。

そのせいもあってか、学校に戻っても勉強に遅れることは無かった。
もともと本が好きだったからほかの教科の教科書を読んでもひとりでにすんなり理解できたみたい。
算数、理科、社会、いずれも結局のところ文字で説明されているわけで、国語ができないと教科書が読めない。教科書が読めなければ授業の意味を掴めない。本を読んで読解力を身につけることの大切さを感じる話だ。

こども病院では授業のようなことがあったらしいが、ぼんごさんは受けていない。普通の病院で過ごせるようになってからは授業のようなことは無かった。

授業の参加が飛び飛びになるので勉強が進まないのでは、とお母さんが心配して家庭教師を病院に呼んでくれることになった。その先生からは算数を教えてもらった。

家庭教師をつける話のなかで、家庭教師を呼ぶのにお金がかかるということを知っていたぼんごさん。
最初の授業をうけて、あまりありがたみを感じなかった。授業は、教科書を読んでいれば自分には十分理解できることの繰り返しになっている印象を受けた。
ぼんごさんとしては勉強が進まない心配は特になく、それよりお金がかかっているということを心配した。授業料と交通費がかかっているらしかった。

だから最初の授業が終わって、次の授業でもう家庭教師は終わりにすることにした。探して呼んで、わざわざ来てもらってこれからというときに申し訳ないけど、自分のせいで家計が苦しいことを理解していたから、これ以上自分が家族の重荷になりたくないと、お断りすることにしたのだ。
病院にいる間、勉強は自分ひとりで頑張ろう。ぼんごさんは真面目だった。

学校での勉強

机に向かっている勉強はあまり身体に負担にならなかったので、座ってできる勉強は頑張った。
また、大人の言うことをよく聞く子どもだったから、授業態度も大人しく、優等生然としていた。教科書をよく読んでいたこともあって、成績は良かった。

勉強をすればみんな褒めてくれるから嬉しかった。身体が弱くても自分には勉強ができるということが気持ちの面でも生活に潤いを与えていた。だから、頑張る、褒められる、また頑張る、のループでぼんごさんはとてもまじめな子どもに成長していった。

身体を動かさない科目の成績は良く、だいたい4か5がもらえた。
身体を思い切り動かす体育がだいたい2くらい、休みが多いときは評価の対象にならなかった。
休みが多すぎると全科目評価がつかず、通知表には空欄の学期があったりする。

たまに先生がクラスのみんなに「ぼんごさんは病気があるけど勉強を頑張っていて偉い」のようなことを言うことがあった。テストでいちばんいい点を取ったときとかに。

勉強を頑張ってはいたものの、誰かと比べられるのを嫌うぼんごさん。それは自分が周囲と比べてよい状況のことだったとしても、嫌だった。勉強をすると自分の中に達成感があることは好きだったが、勉強は周囲と比べて自分が優れている、と認識するためのものではなくて、自分が楽しいからやっている、に近いものだった。

だから、クラスのみんなに改めて「偉い」のように紹介されて困惑した。
しかも、クラスメイトからは「ぼんごは先生に好かれているから体育を見学しても5がもらえているらしい」みたいな誤解を受けることもあった。

先生、褒められることを嫌う子もいます。
褒められた子を嫌う子もいます。
先生、大変ですね・・・。

学校での体調不良

通知表には体調が良くなかったときの記録がたくさんある。
・外見よりも身体の中のほうは大変だったようですね
・今の課題は少しでも健康になることです
・夏休みは勉強より休養につとめてください
・まだまだ先は長いからあわてずゆっくり進んでください
などなど。

外見からは体調不良や困難がわからないので、先生も思わぬところで容態が変化していることに直面したりして面食らうシーンもあったはずだ。

1年生のときの通知表にはこうある。
体調が悪くなるとすぐに教師のところへきますが、だまったままで何と言ってよいのかわからないようなときがありました。気分が悪いとか、頭が痛いなどと言えるように指導していきたいと思います。

集団生活に慣れていないぼんごさんがなんとか身体の異変を伝えようとしていたのだろう。
先生も先生で、なんとかぼんごさんの訴えを受け止めようとしてくれていたのだろう。

難病のこどもを受け持つ学校の先生も大変だ。その子だけを優先的に対応するわけにもいかないし、放っておくことはできないし、悩ましい時間が沢山あったろう。

学校に行くならそれなりに周囲の協力が欠かせない。難病の場合はコミュニケーションの方法を良く練っておいたほうがよさそうだ。見た目にわかりづらい病気であればなおさら。

また学校に行くことにこだわらない勉強の方法もあるはずだ。勉強は家でもできるし。とくに今の時代は学校の外でも大量の教材に触れることができるし。学校に縛られてそれがストレスの原因となる事態は避けたいものです。

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