一年生のぼんごさん、その日は学校の近所に何があるかを歩いて調べる授業があった。教室を出て校門を出て、クラスみんなで散歩をするみたいに、学校の近くに何があるのかを歩いて学ぶのだ。遠足に近いが遠足ほど遠出はしなくて、せいぜい1kmあるかないかの距離を往復するような感じだった。
初めての課外授業
そのときは学校の近くにあった川まで行くことになった。1時間目と2時間目をあわせて、列になってぺちゃくちゃ喋ったりふざけたりしながら、小学生の一団が町を進むのだった。ぼんごさんにとっては初めての課外授業で、この行進がどういう意味かもわからずただただ前の人に倣って歩く時間が続いた。
やがて川についた。
川についたら自由時間のようなものがあって、みんな走り回ったりして遊び始めた。みんな楽しそうにしていた、と思う。ぼんごさんはというと、このときの楽しげな記憶がない。
このあたりでぼんごさんが覚えているのは、先生が帰るよとみんなに合図をしてから、その時点で疲れ切ってほとんど動けなくなってしまったことだ。息はふうふうと荒く、モンスターハンターで疲れ切ったモンスターがするような呼吸になってしまっていた。
その様子に気が付いた先生、これはまずいと思った。
先生はぼんごさんを背負って、学校までの帰り道をおんぶして帰った。
先生はたぶんぼんごさんにいろいろと声をかけたりしたと思うが、ぼんごさんにはその記憶がないらしい。周りのこどもも心配するとか茶化すとかしたかもしれないがそういう記憶もないらしい。疲れてしまってそれどころじゃなかったのだ。
運動はダメなのか
時間にしてたぶん1時間とかそれくらいだろうか。1kmくらいの距離をあるいて、すこし課外活動をしたくらいで動けなくなるくらいにぼんごさんは体力がなかった。それもそのはず、それまで運動は禁じられてしてきていない。積極的に運動をしたいと思うこともない。また自分がどれくらいで疲れるかの予測もできなかった。そういった体験や経験がなかったから。
ぼんごさんのはじめての遠足は川に行って先生におぶられて帰った、という記憶となって残った。
他にも、このころは遠足というものについて楽しかったという記憶がない。
腎炎を患うこどもには運動は厳禁とされていた時代だった。 最近は適度には運動をしたほうがいいということになっているらしい。無理が生じない程度に運動をすることも大切だと思う。自分の限界がわかるし、それなりに体力もつく。無理ならすぐやめればいいのだし。本人がきついかどうか、外見からわかりづらいのが周囲から見ていて難しいところとは思う。よくコミュニケーションをするしかないのかな。
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