入院の間は病院の外に出ることはもちろん、毎日をほぼベッドの上で過ごすことをしか許されなかった。そういう幼少期を過ごしたぼんごさん、ベッドの上では本を読んで過ごす時間が多かった。自然と本に夢中になった。
お母さんが選んで持ってきてくれる本もあったし、自分でお母さんにお願いして買ったり、図書館で借りてきてもらう本もあったし、病院に置いてある本も読んだし、同世代のこどもから借りたりする本もあった。よくある昔話から偉人伝、童話、児童文学、漫画と、本を読むことは大好きだった。
なんかうまそうなもの
一番好きだったのはイーニッド・ブライトンというイギリスの作家が書いた「おちゃめなふたご」というシリーズだった。寮生活をする双子の学園物で、わがまま育ちのパトリシアとイザベルが個性豊かな友達に巡り合い、喧嘩やいざこざなどを解決しながら成長してゆく物語だった。
教師に秘密で寮生の誕生日会をするシーンがあって、夜中にショートブレッドビスケットやチョコレートケーキ、サーディンサンドやキャンディ、スイートミルクにプディングを持ち寄ってわいわい楽しみながら食べるところには、ぼんごさんの食への願望がそのまま乗り移ったかのようで、読んでいて楽しかった。「サーディン」などはどんな食べ物かわからないけれど、なんかうまそうなものにこどもたちだけでかじりついている様子は、自分自身も満足させてくれるような楽しさが満載で、ぼんごさんのほしかったものがそこにあるように感じられた。
ほかにも、こまったさんシリーズ、わかったさんシリーズなど、お菓子や料理を作る本を好んで読んだ。おいしそうな食べ物が出てくるお話を読むことはぼんごさんにとってこの上ない楽しみだった。
漫画はギャグマンガを好んだ。パンクポンクという作品が大好きで、はじめて自分で買った漫画で、なんどもなんども読み返した。絵がかわいくて大好きで、塗り絵のようにして遊んだり、また、登場するウサギのパンクとボニーちゃんがいろいろ食べるシーンも大好きだった。ムチャー。
本の中の外の世界
病院にも本がたくさん置いてあって、それを読むこともあった。
プレイルームに何冊か本が置いてあって、何気なくとった本が成人女性向けの本で、幼かったぼんごさんはうぎゃーっとなってしまったらしい。また、夜中にトイレに起きたあとにプレイルームでこれまた何気なくとった本がホラー漫画で、おしっこしたのにおしっこちびりそうになったらしい。いまでもその漫画の名前やシーンを覚えているとか。
本の世界では、どんなおてんばもできたし、高い山に登ったり、海を泳いだり、好きなものを好きなだけ食べられたし、外の世界の空気をたくさん吸える気がしていた。本の中にも世界が広がっていることをぼんごさんは知った。好奇心を刺激されるのがとても楽しいし、いまでもずっと本は好きだ。
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