2024年に入ってから、ぼくの転職騒動でいそがしくてぼんごぶろぐの更新が滞っていました。
でも落ち着いてきたのでぼちぼち再開します。
いつも読んでくださる方、どうもありがとうございます。
0.5のおばさん
さてぼんごさんの最近の話。
ぼんごさんは6月ごろから体調が悪く、といっても具体的に何が悪いかを特定できるわけでもなく、「だるい」とか「疲れた」といった言葉がよく出ていた。
病院に行っても劇的に改善する治療もないし(ということは長年の病歴の中で達観もしていて)、家にいてゴロゴロして過ごして、この不調が身の回りからひとりでに去ってゆくのをただ待つほかない時間を過ごしていた。
とりわけこの夏はめっちゃ暑いので体調不良に加えて暑さで体力をめりめりと削られていたのが7月8月のこと。
また、ぼくが完全在宅勤務となったために家庭環境に変化があってストレスが溜まったであろうこと。
さらに、お母さんの身体に小さな腫瘍が見つかって手術が必要になったこと、などが重なって、ぼんごさんはここ数日、炎天下の雑草のようにしなっと弱ってしまっていた。
そんな折、ネットフリックスで「0.5の男」というドラマを見た。
ひきこもりの40代男性が親夫婦と妹夫婦と一緒に2.5世帯の家に住むという設定の話で、主人公はほぼ2世帯の家の一部に自分の部屋をあてがわれて暮らしている。午前中は寝ていて夜は遅くまでオンラインゲームをして過ごし、食事や家事は高齢の母親に一切合切面倒を見てもらい、妹夫婦には、とくに姪っ子からは「え、きも」な存在として避けられてひっそりと暮らすおっさんを中心とした、家族の物語だ。
おっさんは基本的に無害ではあるが、食べる、好きなことをする、寝る、くらいの行動で成り立っており、世の中から置き去りにされて過ごす様子があちこちに描写されていて、せつないシーンが多いドラマだ。
ぼんごさん、画面の中でいつもスウェット姿のぼさぼさ頭のひげおやじに、その暮らしに自分を重ねて見てしまったようだった。
主題歌の歌詞を借りればこんな感じだ。
寒いし暑いし雨だしだるいし風も強いし
人は騙すし怒るし嘘つくし
外には危険がいっぱいあるぞ
工藤祐次郎『たのしいひとり』より
作曲:工藤祐次郎
詞:工藤祐次郎
そんなこんなで、夜中に考え事をしてしまったり、不安や後悔を強く感じたり、自分への失望のような言葉がこぼれるようになっていた。
ぼんごの様子を見て、この数か月間の変化を、良い方向に修正してゆく必要があるかも、とぼくも本格的に考えないといけないと思い始めたところだった。
友達は遠くにいても
そんなときのこと。
近頃は便利なもので、遠く離れた人とでもインターネットを通じて瞬時にやりとりができる。
遠い異国に暮らしているぼんごの友人がSNSを通じて何気なく連絡してきたのだ。
最初はテキストをスポスポ言わせていたようだが、そのうち通話になった。
で、お互いの朝と夜をつないで数時間、話し込んだようだった。
いろんな話をしたらしい。
家族のこと、体調のこと、老いのこと、仕事のこと、旦那のこと、子どものこと、将来のこと、自分のこと、相手のこと、日本は暑いということ、いつ帰ってくるのかということ、などなどだ。
通話のなかで、ぼんごは久しぶりに外界の風をいっぱいに浴びたようだった。
遠くから自分を話し相手に求めてくれて、嬉しかったようだった。話すことは尽きないし、共感することも多かったみたいだ。数時間の通話が終わると、ぼくにも彼女のことをいろいろと、嬉しそうに教えてくれた。
さっきまでの0.5のおばさんとしてのぼんごは部屋を出たようで、友達との話が終わったあとのぼんごはそれなりに元気を取り戻し、気持ちの沈み込みが止まったようだった。
この友達と話ができるとぼんごの気持ちはだいたい安定している。自分はこうだったよ、と振り返って語ることはナラティブセラピーのように働いたのだと思う。
友達にしかできない話、友達にしか癒せないこと、もあるのだと、ぼくは強く思う。
ありがとう。
ぼく注:
「0.5の男」ですが、おっさん、といっても主人公を演じる松田龍平さんのお芝居はほんわかしますしどことなく格好いいし、ドラマ自体がこの0.5のおっさんが次第に元気になってゆく姿を暖かく描いていて面白く、音楽も素敵でよいドラマだと思いました!
主題歌をリンクしておきます。
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